「教育と自由」北大教授のコラム

昨日のつれづれ日記の続きです。
今日(2/5)の東京新聞に、北海道大学教授 山口二郎先生がこんなことを書いておられます。まったく同感なので、ここにご紹介します。
教育の問題は、自分に子どもがいる いないに関わらず、私たちが暮らすこの日本の将来を考える時にとても重要な問題です。みなさんおひとりおひとりが、
この現実に目を向けてくださることを心から願い求めます。

「教育と自由」 山口 二郎(北海道大学教授)
土肥信雄・元都立三鷹高校校長が、都立高校の職員会議における採決の禁止は違法であると訴えた裁判で、一審の東京地裁は土肥氏敗訴の判決を出した。
大阪における教育基本条例にしても、東京における教育現場の締め付けにしても、日本の教育行政では、学校教育を労務管理の発想で捉える動きが強まっている。

この点について、既に明治時代に三宅雪嶺というジャーナリストが次のように予言していた。
「独立心を憎むの官吏が教育を監督し、独立心を憎むの教員が授業を担当しては」、「有識有能の奴隷精神」を持った人間を作り出すだけであると。
有識有能の奴隷精神は、無責任なエリートを生み、国を破壊に導いた。現代日本では、これに独立心を憎む裁判官が加わった。

学校における上意下達と点数主義を推進する為政者は、グローバルな競争に勝つ人材を育成したいと言うが、それはとんでもない見当外れである。

知的、精神的に自立した若者を育てるためには、教師の自立、独立を保障しなければならない。自治体首長の政治的趣味で上からの統制を強めれば、上司の顔色をうかがう教師が増え、そんな教師の下からは事大主義※1の人間しか育たない。

一審では負けたが、学校における自由を守るために土肥氏の勇気ある戦いを支援しなければならない。

ー東京新聞 2/5 朝刊 「本音のコラム」より転載ー

※1「事大主義」とは、自分の信念を持たず、支配的な勢力や風潮に迎合して自己保身を図ろうとする態度や考え方をいう。


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