先輩

我が家のこどもたちの中学での話。

この学校の卒業式では 式終了後に、送り出す後輩たちが 大好きな先輩、尊敬する先輩の身につけているものをいただくというのが恒例となっている
まぁ時として、奪い取るという形容のほうがふさわしい場合もあるけれど。
したがって人気者の先輩たちは全てが終わった時には身ぐるみはがれた状態になっているわけである。

我が家の息子には小学校1年生の時から近所に住む5歳年上の大好きなお兄ちゃんがいた。息子が小1の時にお世話係になってくれたNくん。
そのお兄ちゃんはその後 尊敬する先輩となり、彼が中学を卒業する日、息子は小学生ながらも中学に行って、制服についているボタンを1個いただいた。

この春の卒業式。
在校生として式に出席した息子は大荷物を抱えて帰って来た。
見ると袋にブレザーが入っている。それも全てのボタン付きで。
何と豪勢なものをもらってきたんだ。
聞くとK先輩がくださったとか。

ところが翌日、息子の留守中にその先輩から電話がかかってきた。
「次のサッカーの練習日に、昨日渡したブレザーを持ってきてくれるよう伝えてください」

そりゃそうよね。
普通のブレザーとしても着られるものを、何もそのまま後輩にあげることはない。
夕飯の時に家族みんなが納得した。

そして昨日。
またまた息子が大荷物を抱えて帰って来た。
何とそこには、クリーニングに出されてきれいになったK先輩のブレザーがあった。

わざわざ学校までもって来てくださったらしい。そのとき息子は先輩に会えなかったので、お礼の電話をしたら、K先輩は「大事に使ってね」と言ってくださったとか。

こうやって、他を思いやる心が受け継がれていく。
いい春だ。

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