客人

今朝我が家に すごい客人がやってきた。

7時過ぎ お弁当を作り終えてふと外を見ると 何やら白いものが ふわりふわりと降ってくる。なんだろうと思っていたその時 淳さんが小さな低い声で言った。
「みんな静かに動いて。大きな声を出さないで」

淳さんがそういうときは必ず 庭に何か珍しい生き物がやってきた時。
そおっと移動して庭を見ると 玄関前の梅の木に体長30センチほどの猛禽が止まって獲物を食べている。ふわりふわりと降っていたのは その獲物となった鳥の羽根。

我が家の全員が息を殺してその光景を見続けた。

オオカミと猛禽類には 共通するかっこよさがある。
単純に「すごい」と思うし 彼らに対して我が家の全員は「あこがれ」のような気持ちをもっている。
だからみんな動けなくなった。

彼(その猛禽)は黙々と食事を続ける。

途中 カラスが鳴いた。
すると彼は 獲物を食べるのをやめ 空をうかがい じっとする。
しばらくすると また食べ始める。

そしてとうとう 我慢に我慢を続けていた娘が叫んだ。
「もう遅刻する!」(いや、もう十分に遅刻してる…)
静かに静かに 決して木を見ず 娘は家を出た。
すると彼は食べるのをやめ 娘が出て行くのをじっと見つめていた。

しばらくして 彼はまた静かに自分の食事に戻った。

ここは東京都武蔵野市吉祥寺。
「いのち」と出会った朝だった。


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